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2025.06.10

熱中症対策の義務化

スモールビジネスの労務を徹底サポート!!

東京都目黒区の社会保険労務士、
社労士事務所SteadyStep <ステディステップ> です。
当事務所は、小規模企業のお客様を中心に、会社の労務をサポートしています。


労務とは、給与計算・労働関係の法令対応・職場づくりなど、従業員を雇うと必要になる作業のことです。
このブログでは、労務管理のヒントになる話題を紹介しています。
今回のテーマは「熱中症対策の義務化」です。

<義務化された内容>

地球温暖化の影響か、夏季の暑さは年々厳しさを増しております。そのような中、熱中症により救急搬送される方も増え、残念なことに命を落とすケースもあります。

(引用 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」)

こちらは、職場で熱中症を発症した結果、死亡または4日以上の休業に至った人数の推移です。
死亡または4日以上の休業には至らなかったケースを含めれば総数はさらに多いとみられ、職場での熱中症は身近な問題だと言えます。
 ※なお、消防庁の公表によると、令和6年5月から9月の熱中症による救急搬送者数は97,578人(前年比+6,111人)


このような状況を受け、労働安全衛生規則が6月1日付で改正され、
熱中症を発症する恐れのある作業を行う職場では、熱中症対策として以下の措置を取ること義務付けられました。


・「熱中症の自覚症状のある作業者」や「熱中症の疑いのある者を発見した作業者」が、その事実を報告するための連絡体制の整備
・作業場ごとに熱中症の症状の悪化を防止するための措置とその実施手順の整備
・連絡体制と症状悪化を防止するための措置の手順を従業員に周知


なお、熱中症を発症する恐れのある作業とは、暑さ指数(WBGT値)28以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日に4時間を超えて実施することが見込まれる作業のことを指し、屋内での作業も含まれます。
また、暑さ指数(WBGT値)とは、熱中症の予防を目的とした指標で、専用の温度計で計測します。

<対応のポイント>

「実際にどのような熱中症対策を取るか」ということよりも、「対策が義務になったこと」自体が今回の改正のポイントです。
義務化により、取り組むべき対策の最低ラインが定められたことに意味があると筆者は考えています。


会社には、従業員の健康と安全に配慮する義務があります。
熱中症事案が発生した際に、必要な対策を取っていなければ、会社は刑事上・民事上の責任を問われる可能性があります。熱中症を甘く考えることなく、慎重かつ積極的な対策を取ることが求められています。
最後に、今回の改正事項に関する具体的な取り組みを紹介します。

【連絡体制の整備】
作業者から管理者への報告を求める事項に「熱中症の自覚症状があること」・「熱中症を発症している疑いがある者がいること」を追加し、その点を作業者に周知する。
また、「熱中症の疑いがある場合に報告をためらったこと」や「様子を見てしまい速やかに対処しなかったこと」が症状の悪化につながることから、異常発見時にはためらわず報告するなど、迅速に対応する体制をつくる。

【症状悪化を防止する措置と手順の整備】
症状悪化を防止する措置とは、
・異常発見時の速やかな作業離脱と身体冷却
・水分や塩分の摂取
・症状の疑いがある者に付き添いをつける(一人で休ませない)
などとされている。
これら一連の作業の流れを手順として整理し、職場内で周知する。


<補足:熱中症の予防>
今回の改正では「症状悪化を防ぐ措置」が義務化されましたが、
以下のような熱中症の発生を防ぐ取り組みも、当然のことながら重要です。
・暑さ指数を定期的に測定し基準値を超えた場合に作業予定の変更や作業の中断・中止を行う
・体を暑さに慣らす(暑熱順化)
・作業者の体調管理を徹底する
・水分・塩分を積極的に補給する
・送風機能の付いた作業服を着用する


【参考】
厚生労働省『職場における熱中症予防情報
厚生労働省『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド
厚生労働省『職場における熱中症対策の強化について


記事の内容は、公開日時点の法令に準拠しています。
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 東京目黒区 ◇ 社会保険労務士
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