創業期の労務の体制づくりを徹底サポート！！

東京都目黒区の社会保険労務士、
社労士事務所SteadyStep ＜ステディステップ＞ です。
従業員を雇った時、会社は労務といわれる作業を行う必要があります。
（ 「労務」についてはコチラ ）


労務に含まれる作業はとても幅が広く、気づいたものから取り組むと、作業ミスや必須の作業の見落としが発生します。
そこで当事務所では、ミスや見落としを防ぐために、
新規創業の会社や初めて従業員を雇った会社が取り組む労務を10項目にまとめ、「はじめの10歩」と名付けて提案しています。


今回も前回に引き続き、はじめの10歩の第8歩目、「有給休暇と向き合う」を紹介します。
有給休暇は、間違った思い込みや不適切な運用が多い分野です。
有給休暇についてのよくある誤解や、従業員さんとトラブルになりがちな点についてＱ＆Ａ方式でお伝えします。

＜有給休暇にまつわるＱ＆Ａ＞

Ｑ８）有給休暇をしょっちゅう使う従業員がいます。迷惑なので解雇していいですか？？

Ａ８）有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額などの不利益な取り扱いをすることは違法です。
解雇は極端な例ですが、賞与や昇給の査定でマイナスに評価することもできません。
このような取り扱いは、労働者が有給休暇を取得することを、実質的に妨害することになるためです。

Ｑ９）有給休暇付与日の直前にアルバイトから正社員になった従業員がいます。発生する有給休暇は何日ですか？？

Ａ９）有給休暇の付与日数は、有給休暇が発生する日時点の雇用契約の内容により決まります。
そのため、付与日の直前にアルバイトから正社員になったとしても、直後の付与日には正社員（＝フルタイム労働者）として有給休暇の日数が計算されます。
なお、雇用形態が変更になった場合でも、それまでに発生した有休休暇や入社からの勤続年数は引き継がれることにも注意が必要です。

Ｑ１０）前日や当日に有給休暇を申請する従業員がいるのですが、申請を認めないといけないでしょうか？？

Ａ１０）有給休暇を取得する権利は労働者の申請により自動的に発生します。また、有給休暇の申請期限が法律で決まっているわけではありません。そのため、勤務開始時刻の直前に有給休暇の申請があったとしても、会社は認める必要があります。
しかし、それでは業務に支障が出る恐れがあるため、会社として有給休暇の申請期限を設定することが一般的です。
土日休みの会社であれば３～５営業日前、シフト制の会社であればシフト作成の締め切りまで、とするケースが多いようです。

Ｑ１１）病欠を有給休暇にしてほしいと言われました。認めないといけませんか？？

Ａ１１）会社は、従業員の事情による欠勤を、その当日以降に有給休暇に振り替える法律上の義務はありません。そのため、このような申し出を、会社は断ることができます。
一方で、病欠等の有給休暇への振り替えは、世間で一般的に行われています。
そのため、会社として振替を行わないとしても、「振り替えてもらえると思っていた。」などと言われ、従業員とトラブルになることがあります。
トラブルを防ぐために、欠勤の有給休暇への振り替えについて、事前に従業員に説明しておくことが大切です。

Ｑ１２）退職が決まった従業員が、「退職日まで有給休暇を消化するので出勤しません。」と言ってきました。
引継ぎをしないなんて納得いかないので断っていいですか？？

Ａ１２）有給休暇は、従業員が時季（期間・期日）を指定して請求することで取得することができ、会社の許可は不要です。そのため、退職日が決まってから出された有給休暇の申請を断ることはできません。
このような事態を避けるために、退職の申し出があった時点で、退職にあたって有給休暇を取得する意思があるかを確認しましょう。
取得する意思がある場合は、業務引継ぎと有給休暇の取得を考慮した退職日を設定することになります。

Ｑ１３）退職する従業員から未取得の有給休暇を買い取ってほしいと言われました。応じる必要はありますか？？

Ａ１３）有給休暇の買い取りは、
　①発生から2年が経過し消滅する有給休暇
　②退職時の未消化の有給休暇
　③法律の定め以上に付与した有給休暇
以上の3つのケースに限り可能です。
（それ以外の有給休暇の買取は違法行為）
ただし、有給休暇の買取は法律上の義務ではないため、従業員から求められても応じる必要はありません。

未消化の有給休暇は、会社と従業員との間のトラブルの原因になりがちです。
有休休暇を取得しやすい環境を整備し、未消化の有休休暇をため込まないことが大切です。


この話は次回に続きます。（右下の＜次へ＞をクリック！）

記事の内容は、公開日時点の法令に準拠しています。
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