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2024.08.10

労務の優先事項(7)有給休暇を運用する③

スモールビジネスの労務を徹底サポート!!

東京都目黒区の社会保険労務士、
社労士事務所SteadyStep <ステディステップ> です。


従業員の雇用に関する作業や取り組みを「労務」と呼びます。
「労務」には、
*含まれる事項の幅が非常に広い
*「法律上の義務である事項」と「法律上の義務ではない発展的な事項」とが混在している
という二つの特徴があります。


そのため、会社が労務に取り組む際には、「法律上の義務である事項」を優先することがポイントです。
この連載では、「法律上の義務である事項」の内、特に重要な10項目を紹介していきます。
(連載のまとめはコチラからどうぞ)


今回のテーマは、「有給休暇」です。
前々回は有給休暇の基本的な事項について、前回は有給休暇管理の具体的な方法について取り上げました。
引き続き今回は、有給休暇に関するよくある疑問を紹介します。

<欠勤を有給休暇にしてほしいと言われました>

従業員の事情による欠勤を、あとから有給休暇に振り替える義務はありません。
ですので、有給休暇への振り替え希望を、会社は断ることができます。


一方で、欠勤の有給休暇への振り替えは、世間で一般的に行われています。
そのため、自社で有給休暇への振り替えを行わないことにしていても、
「振り替えてもらえると思っていた。」と言われ、従業員とトラブルになる可能性があります。
トラブルを防ぐためには、有給休暇への振り替えを行うかどうか、事前に説明しておくことが大切です。

<有給休暇の申請を断ることはできますか?>

有給休暇は、従業員が日時を指定すれば取得することができます。
会社の許可は不要で、有給休暇を取得する理由も自由です。


そのため、有給休暇の希望を断ることは原則としてできませんが、
「複数の従業員の有給休暇の取得希望が重なり、全ての希望を認めると業務の運営に支障がある場合」など、
業務の正常な運営が難しい場合に限り、取得希望を認めないことができます。
「忙しい」「人手が足りない」といった理由では足りず、上記のような特殊なケースのみ認められることに注意が必要です。

<退職前に有給休暇をまとめて取りたいと言われました>

繰り返しになりますが、有給休暇の取得希望は原則として断ることができません。
そのため、退職日が決定した後に、退職日までの期間に有給休暇の取得希望があった場合、会社は断ることができません。
(業務引継ぎが不十分、という理由で有給休暇を断ることはできない)


このような事態を避けるためには、退職の申し出があった時点で、退職にあたって有給休暇を取得する意思があるかを本人に確認することがポイントです。
取得する意思がある場合は、業務引継ぎを完了してから有給休暇の取得に入ることになり、結果として退職日が先延ばしになります。
本人にこのような事情を伝えたうえで、退職日を本人と相談することになります。


また、退職する従業員から未取得の有給休暇の買い取りを求められることがあります。
未取得の有給休暇を買い取る義務は無いため、買い取りの求めに応じる必要はありません。
ただし、有給休暇の買い取りについても従業員とトラブルになりがちな事項であるため、有給休暇の買い取りをするかどうか、事前に説明しておくことが大切です。


なお、有給休暇を取得させる代わりに有給休暇を買い取ってしまうことは違法です。
有給休暇の買い取りが許されるのは、有効期限が切れて消滅する場合か、退職時に残っている場合に限られることに注意しましょう。


記事の内容は、公開日時点の法令に準拠しています。
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 東京目黒区 ◇ 社会保険労務士
 社労士事務所 SteadyStep <ステディステップ>
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